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〜色について〜

かずき君のコメントは 
**この色**
しのかさんのコメントは 
**この色**
藍のコメントは  **この色**

 

六花様からの素敵小説

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☆幾つもの感謝を物語りに込めて――

  ―三人の三日月に捧ぐ―






朝夕と肌寒くなるこの頃、ただ…穏やかに過ぎる時間は少し退屈なのですけど…。

とある孤島の冒険が終わって幾年月。
今は平凡な日々を送っています。

「ん〜…シオンちゃん…ご飯、まだ…?」

「あぁっ、すいません…っ」

でも基本的にあんまりボンヤリはしてられません。
生きるために―――。



ある日何処かで
      
       
――風の便りが届けるもの――



私の名前は『シオン=ウィズムーン』、何年か前にとある孤島に居た、極普通のエルフ…。
今はこの街で暮らしている。

最近は昔の仲間達と手紙のやり取りをしたりする程度の交流では有ったもののあの時から続いていはした。
その中でもかなり繋がりの深い友人、名を『イヴェルノーア』。
数日前に手紙を貰い、その翌日ひょこりと姿を現した。
そして今日、彼女は数日こっちに居るとの事で現在私の家にお泊りしている。

パタパタと忘れていた夕飯の準備に取り掛かる私。
必要なものを出し、今日の夕食のメニューを考えながら戸棚を開いた。

「……もう少し待ってて下さい、…ってアレ?ハーブ切れてる…」

が、取りおきが有ると想っていたハーブは切れていて…戸棚の籠の中は空っぽでした…。

「困ったな…隠し味が使えないのは一寸物足りないし…」

淡い緑色のエプロンをつけて…いざ、晩御飯調理開始!と想ったのですが肝心の材料が足りません…。
思い出して見ればなのですが…今朝方ハーブチーズを作った時に切れた気もしてきました…。

「…ハーブ……裏の畑の…?」

「うん、そうなんだけど…」

ただノアさんの言う通り、幸いとハーブはうちの裏手で栽培しているので取りに行けば良いだけなのです。
私が無いなら取りに行こうときびすを返したところ一足早く台所の脇の裏口の方へと移動していたノアさんが眠たそうな瞳をしたまま――

「……私、取って…来る……」

と、白く塗装された木の扉の裏口から外へと出て行きました。
すると、急に静かになる部屋。

――シーン―。

私達は別段良くお話をした訳でもなくただ一緒にのほほんとしてた程度なのですが…それでもやはり自分以外が家に居る…と言うのは違うものなのですね…。

「ぁ…お料理、お料理っと…」

一瞬しんみりとして現在の状況を思い出して、いそいそと調理台の前に立つ。
冷蔵箱から鳥の腿肉を取り出して、フライパンに油を多少多めに注いで熱する。
そうしたら、鶏肉を皮の方から油に入れて強火で両面をこんがりと焼き上げる。

其処までした時、裏口が開きノアさんが脇の籠に香草を詰めて帰って来ました。

「すいませんが、今手が離せないので…そこのレシピに有るタレを作って下さいませんか…?」

「……レシピ?……ん…解った……」

フライパンから上げた鶏肉をコンロに乗せたグリル網の上に皮側を上にして移動させます。
その間に案外手際よく各種のスパイスと調味料を合わせてタレを作っていくノアさん…。

「……ハーブ…は、刻めば…良いの…?」

「はい、刻んでタレの中に入れちゃってください♪」

グリルの下に火を点しつつ、ノアさんに作って頂いたタレを鶏肉に塗ります。
タレが乾くまで焼いて、乾いたら又タレを塗りパリッと焼きます。

「…で、之をお皿に移して……お野菜は…」

「……適当…に、乗せちゃっ…て……良いよね…」

ノアさんが網に乗せているのはオニオン、トマト、カボチャ。
…因みにカボチャは前のハロウィンでパイに使い損ねたのですね…。
先程鶏肉を焼いた網に野菜を食べ易い様に切って並べ、味付けはお塩で…―――。

「………さて、と…後は昨日のスープとパンは今朝方買ってきたので…」

「…チーズ…も出そうよ…」

昨日のお豆のポタージュを暖めなおして、まだ柔らかいパンを切り分けて。
ハーブが切れた元凶の「ハーブチーズ」を取り出して、お皿に綺麗に盛り付ける。

食後は紅茶とマロンタルトがまだ有った筈ですから早めに食べちゃいましょう。
夕飯時は何時も忙しないのですが、今日は更に忙しなかったです。
苦笑しつつテーブルに料理を並べて、料理器具を片付けれるの片付けて。
ノアさんは、紅茶のポットに葉っぱ…後、タルトの場所を確認している最中。

其処まで来てふと、とある事が頭に過ぎりそれを何となく口に出していた。

「…そう言えば、今日は起こさなくて起きてこられましたね…?」

何時もは起こしに行くので、考えても見れば珍しい。
すると。何かを思い出したみたいな表情になったノアさん…。

そして――

「…夢、見たから……ウィルちゃんの…」

「はひ…?…夢ですか……?」

そして、語れた言葉に一瞬固まってしまった私でしたけど…。
仕方有りませんよね…?

だって…

「…うん、ウィルちゃんが…風に飛ばされる……夢…」

「…………………………」

何だか、予知夢に思えるのは気の所為ですよね…。
思わず、無言で椅子に座ろうとしたまま固まる私を見るノアさんの表情も幾分引き攣って見えるのですが……風の便り…とか、虫の知らせって事は有りませんよね?

いぇ、良く風に飛ばされてましたから…ウィルさんは…。
その後…何とも言えない雰囲気で何時もより明るい食卓になった
のは…気の所為じゃないと想う…。





END










☆お・ま・け



「ひにょわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!??」

何で、何でですかぁっ…フェアリーサイズに戻った瞬間吹いた突風。
当然…ウィルちゃんはすっ飛ばされた訳でぇ〜。
久しぶりの錐揉み飛行中ですぅっ!!

「――ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜っ、フギャンッ!?」

そして、お約束の物体激突……。
もう、ヤんなっちゃいます…。
理不尽な風に腹を立てつつぶつかった相手を確認しようと顔を上げると。

「…何やってるの?…ウィルちゃん」

シエラさんの顔、顔、顔…如何いう事ですぅ…?
周りを見渡してみる、妙に地面まで距離が有る様な…。
そして、結構な勢いで衝突した割りに……柔らかい?

えぇっと〜つまり、それは〜〜〜〜〜。
ニコニコと微笑むシエラさんが何だか怖いです…。

「……と、言うか…之、如何いう状況かしら…?」

「あははぁ〜…御免なさいですぅ……」

……―――――兎に角。
助かった事は助かったみたいなので、これ以上詮索はしないでくださぁい。



本当にEND


 

 

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